地域おこし協力隊 活動報告【令和6年3月】

活動報告ピックアップ

隊員氏名:福岡 沙織

視察研修

 3月21日・22日にかけて、地域おこし協力隊として、岩手県一関市と遠野市の観光やまちづくりに取り組むDMO・NPO団体を視察した。

 世界遺産平泉・一関DMOでは、「滞在型観光の促進、地域課題解決に向けた観光地域づくり」に関する取組について講義を受けた。旅行における現代のトレンドは「異日常を体験すること」だという。かつては、観光名所を団体で見に行くことや、非日常的なアクティビティを体験しに行くことが旅行の主なトレンドであった。しかし、今後は、旅行者が他の地域のリアルな日常生活を体験する「異日常」の需要が高まる傾向がある。我々が当り前だと思っている日常生活が、旅行商品として価値を持つ可能性が大いにあることが分かった。

 NPO法人遠野山・里・暮らしネットワークが運営するグリーンツーリズム提供団体「旅の産地直売所」では、遠野市内の民宿で農家と一緒に郷土料理を作り食事をする「農家のごっつぉランチ」プランを体験した。民宿の前にある畑で採った米や野菜、山菜を下処理からすることで、旬の食材の種類や栄養に関する知識が増えると感じた。また、旧南部藩の郷土料理であるひっつみ汁作りをとおして、その土地の食文化を学ぶことが出来た。食事の際は民宿のオーナーと、食や健康、そしてプライベートの話題まで様々な会話をし、まるで実家に帰ったような感覚を味わえる空間であった。この体験プランでは、食育と、遠野市のリアルな日常体験が得られた。一関DMOで視察した観光地域づくりの講義の中で、現代の観光に求められるのは「異日常」であることを学んだが、この「農家のごっつぉランチ」はまさに遠野市で体験できる異日常であった。

 八戸市にも、せんべい汁や馬文化、横丁などといった伝統文化が沢山残っている。これらは、我々にとって当り前だが他者から見ると「異日常」なのかもしれない。SNSやメディアを通じて八戸圏域の「異日常」を新たな観光資源として、多くの人にアピールしていきたいと感じた。

農家民宿 Agriturismo 大森家
農家民宿 Agriturismo 大森家
農家のごっつぉランチ
農家のごっつぉランチ

隊員氏名:大久保 加名子

一関DMO視察

 世界遺産平泉・一関DMOが取り組む、滞在型観光の促進、地域課題解決に向けた観光地域づくりについて伺うことを目的とした視察に行った。

 一関DMOの取組みの中で、消費単価を上げる・リピーターを増やすことが目標である「滞在型観光地」「リピートしたい観光地域づくりについての取組み」についての説明をしていただいた。一関DMOでは観光戦略として「記憶に残る体験」の提供を目指している。そして、観光に来ればSNSで発信してくれる20代~40代をメインターゲットに設定し、文化に関わるコンテンツの造成や、高単価かつ消費額を上げられる「そのために宿泊旅行をするような体験」を提案し、地域の生活に触れながらゆるやかな人間関係の構築につなげること(記憶に残る体験)で、リピーターを創出していくという戦略である。また、時代に合わせてこれからは「非日常」ではなく、「異日常」(※地元の人にとっては日常・当たり前のことだが、ソトの人にとっては珍しいこと)の体験がトレンドになるという話が印象的だった。八戸においても20代の若者の価値観がまさに「異日常」の体験へと変化しているのを実感している。人々の価値観の移り変わりを即座にキャッチし、地域の現状やアンケートから課題や弱点を的確に把握したうえでアクションの設定をし、観光コンテンツを地域に根付かせる仕組みづくりを行っている点が学びになった。

 また、一関市の街並みを歩いていると、おもちに関するお店が徒歩10分圏内でも複数あった。一関市では、年間60回以上おもちを食べる文化があるという。300種類を超えるもち料理があるなど、観光向けだけではなく、地域の生活にも密着していることが伺えた。八戸市でも、郷土料理であるせんべい汁が食べられるお店が外から見てわかるようになれば、食文化としてより強く根付かせられるのではないかと感じた。地元の人が観光客に勧めたくても、どこで食べられるのかが把握しづらいため、勧めにくいというのが現状ではないだろうか。観光客にとって認知度の高さだけでなく、実際に現地に来て食べるという体験につなげられやすい環境の提供も観光分野において大事な要素だと気づくことができた。

果報餅
果報餅
果報餅の種類
果報餅の種類

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